何度も推敲を重ねている理事長の原稿 18年前にも自伝を発刊。今回はその続編となる

山口病院(名古屋市南区)の理事長、山口勇先生は、1959年に開業され、また警察医として53年間、多くの死と向き合っていらっしゃいました。もうすぐ卒寿を迎えられますが、今も毎日、病棟の回診を欠かさず、当直の看護師さんにやさしいお声をかけて回ります。
10代の頃からこの病院で働いている看護師長は理事長についてこう語ります。

「患者さんには日曜も祭日もない。1年365日、どんな人でもすべて受け入れなさいと教えられました。深夜であっても自ら執刀されるお姿を診て、この病院に生涯を捧げようと決心し、先生に反した生き方だけはすまいと、今までやってきました」

理事長の医の心は職員みんなに受け継がれ、病院内はあたたかい空気に包まれています。
その理事長から「卒寿を迎えるにあたって、記念誌をつくりたいので手伝ってほしい」とお声をかけていただきました。それ以来、月に数回、理事長とお打ち合わせを重ねています。よくよく話しを伺うと、記念誌は、今までお世話になった人たちへの恩返し。すべて自費で制作し、「長寿の会」と題した生前葬で手渡しされることを知りました。

「死んでしまったら、
せっかくお葬式に来てもらっても
ハグできないからね」

といたずらっぽく笑う理事長。
今も多くの患者さまに支持されている理事長と打ち合せの回を重ねるたび、こうした時間もまた、かけがえのないものであることを感じるこの頃です。