あるクリニックで検査機器を撮影中、立ち会ってくださった診療放射線技師の男性がポツリとこんなことを言われました。

「僕は画像を読影するとき、必ず見つけてやるぞという気持ちで、丁寧にチェックします。だから時間がかかる。でも、スタッフの看護師さんたちは、早く仕事をする技師のほうが優秀と思い込み、僕なんてイヤがられてしまうんですよ」

もし私がレントゲンやCT検査を受けるなら、こういう技師さんに見てほしい。心からそう思いました。でも、現場を知らないスタッフや患者さんたちは、単純に「早い」ほうが良いと思い込んでしまう……。皮肉なものです。

私たち制作会社も同じかもしれません。「早い」「安い」業者のほうがおトクと思われがちですが、本当にお客さまのことを考えて仕事をする会社は、ヒアリングや打ち合せを大事にするし、制作も手を抜きません。「早い」「安い」業者と比べて、どちらがおトクか、結果はおのずと出るのではないでしょうか。

あの診療放射線技師の男性がいきいきと働ける職場になることを願わずにはいられません。